AI時代の学力観② 数学の真価:本質を見抜く力を育む学問

2023年5月14日 Vol.968

つばめ学院は埼玉県和光市にある「生徒を元気にする塾」です。

塾長の関口です。
本日も引き続きAI時代の学力観について書きます。
今回は特に、数学に焦点を当てます。
AIが瞬時に数値計算や方程式、関数を解くと、人間が数学を学ぶ意義が失われるかと思うかもしれません。
しかし、それは違います。数学を学ぶ意義は決して失われません。

数学とは何か

そもそも「数学」という言葉は誤解を招きがちです。
名前に「数」が含まれるため、数学は数値を扱う学問と捉える方が多いでしょう。
しかし、私は、数学は「ものごとの本質を思考する学問」だと考えています。
そして「本質を思考する」とは、目の前の事象だけでなく、その背後にある普遍的な要素を探求することを指します。

具体的な例で考えてみましょう。
「12個のお菓子を4人で分ける」場合と、「12個のお菓子を4個ずつのセットにして分ける」場合、どちらも「12÷4=3」と表現できます。
しかし、現実の問題としては、全く異なる状況です。
(お菓子が12個あって、友達が4人目の前にいる状況。と、お菓子が12個あるけど、実は4種類ある状況は全く意味が変わります。)
それでも同じ数式で表現できることは、「本質的には同じ」と言えるのではないでしょうか。

「本質的に同じ」を広げて考えると新たな発見があります。
「球」の本質は「中心から等距離にある点の集合」であり、野球のボールも地球も、本質的には同じ「球」といえます。
球の本質が野球のボールに当てはまるように、地球にも当てはまります。
これを利用し、エラトステネスは紀元前240年、卑弥呼が生まれる約400年前に「地球の大きさを測定」しました。
(測定ですよ、測定。仮説ではなく。)

本質を理解すると、野球のボールと地球が「相似形」であることが分かります。
同様に、「相似形」を理解すれば、「オリンピックは国際情勢の縮図(相似形)」という表現の真意もすぐに理解できるはずなんです。
「ねずみ算式」は急激な数の増加を表す言葉で、その本質は指数関数です。
指数関数を一度でも扱った人なら、この急増を「体感」しているでしょう。
なお、「指数関数」は現在の高校2年生が「数Ⅱ」で学習する内容です。

数学で手に入るもの

計算や数学は「答えを出すだけ」ではなく、「答えを導く過程でどのような本質があるか」を明らかにする学問です。
数学を深く学んだ人は、「この事象の本質は何だろう」と自然に思考が向かうようになります。これは数学を学ぶ上での当然の結果と言えます。

改めて強調しますが、「数学」は「本質を理解する学問」です。
数学に取り組むことで身につく力は「本質を見抜く力」です。
お子様が大人になった時、目の前の事象にとらわれるだけではなく、本質を捉えて解決策を見つけ出せるかどうかは、大きな違いを生むでしょう。
その違いを育む手段として、「数学」は最適ではないでしょうか。

数学ができることの価値は、「暗算が早い」ではないんです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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